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出発進行!

Posted by mg on 28.2012 小説   0 comments   0 trackback
財布の中にはチケットが1枚とある程度の金。
そしてリュックの中にはタオルが5枚。着替えは下着と着慣れたいつもの服と胴着のみ。
食料は、あっちで調達する。野宿だろうから、テントや簡易式ランプも忘れずに。
後は、早乙女流の秘伝書とかの巻物類に、最後は今までの思い出の品。数は少ないが、その分捨てられない程の思い出が詰まった物ばかりだ。


今回の荷物は今までの修行より少しばかり多い。理由は、大方の予想は付くだろう。

明日の早朝、早乙女乱馬は中国へ渡る。

何も突然では無い。
資金が貯まったら中国へ渡り、呪泉郷へ向かう。
これは、乱馬が高校2年に進学した時から心に決めていた事だった。

しかし、高校生という身分ではなかなか親の許しが降りなかった。親と言っても、玄馬が止める筈も無いので、当然のどか一人なのだが、高校は卒業してほしいと相変わらず切れ味の良い刀を片手に迫られ、乱馬が折れたのだ。
哀れ乱馬よ。やはり母には逆らえぬ運命なり。

そして、現在大学1年の春。桜が散り、梅雨入りの少し前の頃。
乱馬は留学という形で修行に行く事が正式に決まった。
推薦で入った大学。本来入ったところで単位など取れないであろうが、留学という形ならば大学が資金を免除してもらえる上に、向こうの大会で結果を出せば大学の一切の費用も免除してくれるらしい。そのメリットに目を輝かした。大学入学は、もはやのどかが勝手に決めてしまったようなものだ。


大学といえば、あかねも推薦で乱馬と同じ大学へ入学した。学部こそは乱馬と違うのだが、こちらはこちらで上手い具合に言いくるめられて入学したようなものであった。父、早雲が大金を出してまで、なびきに協力を求めたのである。

そして見事に乱馬とあかねを同じ大学へ導いた。それだけのために、一体いくらの金額がなびきの手元に納まったのかは定かではない。

だからこそ、早雲にとって乱馬の中国行きは多少なりとも・・・いや、とてつもない絶望に近いほど残念である。
乱馬が早雲に中国へ行くと告げたのは、3月の始め頃。高校卒業式の前日である。
どこから嗅ぎ付けたのかは知らないが、なびきやかすみさん。うっちゃんやシャンプーや良牙にムース九能、とこれまたお馴染みのメンバーもその事実を知ったのは早雲と同時期であった。
この面子より先に知っていたとすれば早乙女夫妻くらいである。


さて、ここで最も重要とされる人物。

あかねだ。

乱馬はまだあかねに告げてはいなかった。
いや、告げる事が出来ずにいた。

恐らく、今夜は天道家で宴会が繰り広げられる。そうすれば、事実が人づてにあかねに伝わるであろう。乱馬は、それだけは絶対に避けたいと心に思っている。


現在、午前10時。乱馬は荷物整理を終わらせて、部屋を見渡していた。

「物はあまり無かったしなぁ。そんなにかわらないか。」

誰もいない。何も無い。そんな部屋でポツンと独り言。思わず微笑がこぼれ落ちる。
とたとたと足音。明らかに親父達ではない足音が誰のものかと推理する。まぁ実際は推理するまでもなく、他の女性陣より多少ガサツな足音を響かせるのはあかねしかいない。

日曜日のこの時間。用事があるとすれば限られる。


バッと襖が勢いよく開かれる。胴着を着た彼女が立っている。そして一言。

「乱馬っ!稽古付き合ってよっ!」
「はぁ?おめぇじゃぁこの俺様の稽古相手になんねぇよ、バーカ!!」

変に意識したのか、今の乱馬の声はいつもよりテンションが変な方向へ傾いていた。
その理由は言わずもがな、あの屈託のない笑顔。これも、しばらく見れないと思うと、少し寂しくなるが、そんな事は口が裂けたって言えないこの男。ましてや、そんな空気を彼女に読まれるだけでも照れる。それが早乙女乱馬である。

「あ、あたしの稽古相手になってほしかっただけじゃない!けちっ!」
「なっ!ケチぃ~?この俺のどこがケチでぃっ!!」
「どこも何も、ケチなモノはケチなのよ!本当心が狭いんだから」
「この俺様以上に心が寛大な男はいねぇぞ!!第一に心が狭いのはそっちだろ?」
「なんですてぇ?」
「お?やるか?」

毎度お馴染み痴話喧嘩。胴着を着た彼女に合わせるように、乱馬も胴着に着替えます。手合わせなので、女になることも忘れない。いつものハンデ。

 あかねが乱馬と出会って約3年。慣れかは知らないが、目の前でパンツ一丁になった乱馬を見ても動じずに、喧嘩をし続けるあかね。なかなか

二人の絆は家族の域なのかもしれない。

お互いに、小学生並みのやりとりを続けて道場へ。
運動の前のストレッチや、筋トレの最中も口を動かし続ける二人だった。

十分にウォーミングアップを済ませ、いよいよ手合わせの時間だ。

あかねと対等に立つ。
あの馬鹿力の割りには、細身。髪は細く、絡む事を知らないかのような綺麗さ。女の色気ってのはシャンプーに比べられば、またまた足りてはいないものの、大分色気付いてきた。
今の俺の格好も、格好だけどな。女だし。

あかねを観察…もとい姿を焼き付けるように見つめる乱馬。
向かい合わせに立った途端、突然黙った乱馬に対し、いきなりどうしたのかという表情を浮かべたあかね。乱馬の近くへ歩み寄ってきた。

「…大丈夫?変な物でも食べた?」

そのまま黙ってあかねを見つめ続ける乱馬。寄ってきたあかねとの距離が…近い。
身長さの為、あかねの顔がいつもよりも・・・近い。もうとっくに慣れた筈なのに、ドキドキと脈を打ち始めた心臓。慌てて冷静さを取り戻そうとするものの、気が付けば乱馬の手は あかねの肩の上。
 何がどうしてこうなったのか、乱馬本人にもわからないようで、大慌てで手を放す。
鈍い事にあかねは頭にクエスチョンマークを浮かべつつ、稽古をしようと言った。
毎度毎度乱馬はあかねの鈍さに苦戦しつつも救われているようである。

再び対等して、礼をする二人。そこであることに気が付く乱馬。


道場に二人。つまり、道場に二人きり。あかねに例の事を打ち明けるとするなら、今。
深呼吸をして、さぁ打ち明けようと口を開けた…のだけど…

「はぁっ!!!!」

と、何とも気合いの入った蹴りが飛んでくる。

「ちょっちょっと待てって」
「問答無用!!」

出た!猪突猛進!
でやぁああああっと、とんでもねぇ勢いは相変わらず。
乱馬は、そんなあかねにたじろぎつつ、難無く攻撃をかわす。

右、右、左、下、左…。

直球勝負なとこは、まるで猪のような力強さを見せる。

「だーかーらー話を聞かんかい!!」
「はあああああ!」

乱馬の声は全くあかねに届かず、結局勝負を終わらせた方が速いようだった。

あかねはまだ攻撃を止めない。拳が勢いよく連続で繰り出していた。
乱馬はさっきよりもギリギリまで攻撃を引きつけ、その拳を掴み、足払いを仕掛ける。

あかねは片手を掴まれ、バランスを崩して乱馬にぶら下げられた状態になった。

「だから言ったろ?相手にならん」
「なっなによバカっ!!」

と、威勢よく発したその本人の目に浮かぶは乙女の涙。

「なっ!!なんだよ、泣くなよ!俺に勝てねえなんていつもの事じゃ…」
「ないてない!」
「泣いてんじゃねえか」
「これは…違う!」

 矛盾してらっしゃる天道さん。
鼻まで真っ赤にして、まるでトナカイのよう。

 戦意を失ったかのようにうつむくあかね。
いつまでもそのまま、ぶら下がった状態にしておく事もない。
乱馬はその手を離した。

 沈黙が暗黙の了解とでも言うかのようにやってくる。
しーーーーんと言う効果音がぴったりだろう。


 外から聞こえる元気な小学生の声。しかし、対照的に道場の中は静かだ。
乱馬にとっても、あかねにとっても気まずい。そんな雰囲気。
乱馬は、意を決した。が・・・。

「あかね、俺中ご「中国でもなんでも行けばいいじゃない。」

静寂を破る言葉を。乱馬の告白を静かに遮ったあかねの一言で、再び一瞬の沈黙と一瞬の氷河期がやってきた。

「へっ?」

色々と驚く乱馬だったが、これだけ周りの人間が知っていて、あかねだけに気づかれないようにというのは、なかなか困難なことだ。
P助もなんとか秘密にできているくらいで、奇跡に近い。良牙が未だにばれてないのは本当に奇跡だ。


「あたしには言う必要がないってことは、許婚解消ね。今までどうもありがとうございました!!」

あかねは、すくっと立ち上がり、顔はうつむいたままきっぱりと言った。まるで、意地っ張りに意地っ張りを足して2で掛けたような、昔の彼女に戻ったかのような態度だ。

「清々した!あたし、これから出かけるから。さよなら!!!」
「お、おい!!何勝手なこと言ってんだよ!」
「勝手なのはそっちでしょ!」

・・・確かにそうだ。勝手なのは自分なのだと思う乱馬。
 中国に行くのは明日だ。
 彼は今までに築き上げたものは、嘘ではないこと、互いに絆が強いものになっているというのは自覚というよりも心で感じていたのを改めて実感していた。勝手に感じていたとしても、思いを告げたこともない癖に、「待ってて欲しい」なんて言えるんだろうか。そう思った。

俺は勝手だ。

「そうだな。でも」

だからこそ聞いて欲しい。

「それでも、俺は中国に行く。だから」

今言わなきゃいけないんじゃねえか?






「俺と結婚してください。」





思いを・・・・。




・・・って・・・・・え?

 呆然と立ち尽くすあかねに、対峙するように呆然と立ち尽くしている乱馬。

「「えっ?」」


「あっと・・・えっ?」

あかねがビックリしているのは分かるが、乱馬も同様に驚き、あたふたしている。

「ぷ、プロポーズするんなら、せめて男に戻ってからしなさいよ馬鹿!!」
「へっ?!あっ俺今女・・・ってえっと違っ!!その前にあかね!プロポっ!!ちょっ違う!!違うぞ!!プロポーズじゃなくて!!」
「・・・なによそれ。嘘?!最低!なんなのよ!人をおちょくってんの?!」

慌てふためく乱馬にあかねに・・・。

「だーーーー!!違う!!俺が言いたかったのは!!」
「なんなの!早く言いなさいよ!!」
「お!!!・・・・・俺!!!が!帰ってく・・るまで、待ってて・・・くれよ」

搾り出すように綴られたその言葉は、尻に近づくにつれてゴニョゴニョと小さくなっていく。
それでも聞き取れたのだろう。目が潤み、息を吸い込んだ。


「なにそれ勝手!!勝手よ!!」
「わーってるよ。勝手で悪かったな。」

あかねは再び八つ当たりモードってやつ?に戻り、その表情は泣き顔に変わっていた。
意味合いの違う涙を流しながらその場に座り込んでわんわん泣いた。

「な、泣くなよ。」
「まっ!!ひっ・・く・・・待ってて・・・やるわよ」



「・・・あぁ。強くなって戻ってきてや・・・あかね?!」








 時は日が沈みきった午後7時。人々が天道道場に集まり繰り広げられた宴会場。内容の濃い面子。シャンプーに右京に久能兄妹、ムースに

コロンお婆さん。その他大勢。道場の中で酒盛りである。そこに良牙は来てはいないようだった。


「乱馬君浮気は許さないからねえええ!!」


「お父さん、それあかねの台詞」


道場の中では、すでに酒と言う名の興奮剤に浸かった妖怪顔の早雲に迫られる乱馬。未だに弱いその顔に引き気味に苦笑いと共に返事を返していた。

「乱馬っ!中国行ったら、ついでに向こうでワタシと祝言あげるよろし!ワタシの友人紹介するネ!」
「何言っとんねん!乱ちゃんは日本で待ってる可愛い許婚と日本で!祝言をあげるんやで!」
「可愛い許婚?どこにいるネ?許婚なんて関係ないね。乱馬の愛人、アイレンはワタシある」
「醜いですこと!乱馬様と婚姻の儀式を交わすのはこの私です。ふざけたことおっしゃらないでくださいまし。」

酒を飲んだのか、酒気を浴びすぎたのか、はたまたいつもどおりなのか、女同士の陰険な・・・・女性の争いでないような暴力的乱闘が繰り広げられ始めようとしていた。

「俺はおめーらと結婚する気はねえってーの!ちょっくら便所」


 同時に詰め寄られ、面倒くさがった乱馬は、母屋に戻り、便所と言いつつ2階に上がっていった。
三人娘は、さすがに便所までは着いて来ないようで、3人仲良く乱馬の嫁討論を武器を持って再開した。


コンコンとノックする。静かに返ってきた返事に、また返すように扉をあけた。

「よっ起きたか?」
「うん。あたし、覚えてるから。忘れてないから。」
「そりゃよかったぜ・・・」

そう、道場の出来事。あの後すぐにあかねは気を失った。慌てた乱馬だったが、原因はただの寝不足だったらしい。
ベッドに運んだあと、一瞬だけ目を覚ましたあかねが言い残した一言。

「眠い。昨日寝てないの。あとで起し・・・・・」

がっくりと力を抜いたあかね。死んでないか、しつこく確認した乱馬だった。彼はしばらくベッド脇から動かなかったのだが、しばらくして、宴会にやってきた来客達に連行されるように道場に引きずられていったのだ。

 
「乱馬、よろしくお願いします。」

「なっ何が?」

 乱馬にとって思いあたりがない。何か頼まれたことあったかな状態。ここで忘れたなんて言ってみろ・・・雷警報発令である。

「何って・・・その・・・」

沈黙が恐ろしい。

「・・ぷっ・・・プロポーズの返事」


「あっ・・・おぅ」



お互いに頬が紅潮して行くのがわかる。伝わる。どきどきと鼓動が高鳴る。

「あかね・・・」

顔が近づく・・・・・



がちゃり




「乱馬君めーーーーっけ!!」

「げっ」

扉の前に嬉しそうに笑いながら、そして指を指しながら立っていたのは早雲だった。
その後ろにいたのは、来客達・・・・・。

「「お父さん!!」シャッターチャンスが・・・・」
「天道君駄目じゃないか~!!あははは!!」
「乱ちゃんプロポーズって何のことや?」
「あかね・・・・殺す!!」
「天道あかね、勘違いなさらないことですわよ!乱馬様はワタクシへのプロポーズの練習をなさって」

半数がニヤニヤ
もう半数が青筋を立てながら引きつった顔。これは・・・・警報じゃすまない。



「うっ・・・にっ逃げるぞあかね!!」
「えっ_?!」



ばっとあかねを抱えて窓から逃走した乱馬。

今日は快晴だ。雲ひとつない。駆け抜ける二人に降り注ぐように、東京の空には普段見れない幸せな星が瞬いていた。



end






あとがき
何が書きたかったって?何だったのか今では思い出せません。
前半は2年前。
後半は今さっき書いたものなのでwwwwww
最初、プロポーズものは書く気はございませんでしたね。まったくもってハハハハハハ!!!

この後の話とか書きたいな~どうしようかなぁ。
ははw
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